【かたちを生む人】第1弾 「デザインは“聞くこと”から始まる」ジュエリーデザイナー編

かたちを生む人。

ジュエリーを創り出す担い手たちの想い

ajourをかたちづくるのは、それぞれの領域で専門性を磨き続けるプロフェッショナルの存在です。
本連載では、そんなajourの担い手たちが、日々どのようにジュエリーと向き合い、どんな想いを込めているのかに焦点を当て、仕事の価値観に迫っていきます。

今回のインタビューはジュエリーデザイナー・加藤さん。
現在展開しているリフォームデザインのうち、半数以上が彼女の手によるものです。

そのデザインは、どこから生まれているのでしょうか。

ジュエリーが身近にあった原点

ジュエリーとの出会いは、決して特別なものではありませんでした。

幼い頃からお母さまがジュエリーを好んで身につけておりその存在は、ごく自然に日常の中にあったといいます。
小学生の頃にはアクセサリーを身につけて登校していたというエピソードからもジュエリーが特別な装いではなく、自分らしさを表現する身近な存在であったことがうかがえます。

美術系の高校へ進学すると当時はデザイナー&キャラクターブランドの流れもあり、周囲にはファッションデザインを志す友人が多くいました。
そうした環境の中でも、自然と心が向かったのはジュエリーでした。
幼い頃から積み重ねてきた親しみとときめきがその選択を後押ししていたのかもしれません。

その後、ヒコ・みづのジュエリーカレッジでデザインを専門的に学び、卒業後は宝石関連の仕事やフリーランスのデザイナーとして約20年間活動。
国内外の有名ブランドへデザイン提供を行ってきました。

現在はajourを運営する株式会社オリエント4C’sにてデザイン開発やフルオーダー制作を手がけています。
また、デザイナー相談会など全国のイベントでは店頭接客にも立ち、社内におけるデザイン業務全般に幅広く携わっています。

「石」を起点に考えるデザイン

ジュエリーデザインには、大きく分けて「金属(マテリアル)」と「石(宝石)」のどちらに魅力を感じるかで方向性が分かれるそうです。

加藤さんは迷わず“石”だと話します。

石そのものが持つ個性や表情をどう活かすか。
そこにいちばんの魅力を感じているそうです。

実際に、ご自身でもお母さまから受け継いだジュエリーをリフォームし、日常的に身につけているとのこと。

その経験があるからこそ、既製品とは異なる“想いの宿り方”を実感しているのだといいます。

受け継がれた想いがもたらしたもの

全国の相談会で、たくさんのお客さまと向き合ってきた中でも、忘れられない出来事があるそうです。

ある日、おひとりでの歩行が難しいご高齢の女性が来店されました。
これまでの想い出や今後のご要望を伺う中で、多くのジュエリーのリフォームをご依頼いただきました。

それからしばらくして再びお越しいただいた際には、以前とは見違えるように、おひとりでも歩けるようになっていたといいます。
さらに別の日には、ご自宅からおひとりで足を運ばれるまでに回復されていました。

「このジュエリーを毎日見て、元気になったのよ!」

そう語る姿と、そのときの輝くような表情が、今でも強く印象に残っているといいます。

それらはすべて、お母さまから受け継いだジュエリーだったそうです。

目に見えない想いが宿り、人を前向きにする。
その力を、あらためて感じた出来事だったようです。

ジュエリーデザインは“聞くこと”から始まる

以前は商品販売の経験もあり、商品の魅力をどう伝えるかを中心に考えていたそうです。

しかし、ジュエリーリフォームは少し違います。

お客さまの話を伺い、記憶や背景にある想いを引き出しながら、一緒に形にしていく。
そのプロセスそのものがデザインだと感じていると話します。

実際の接客でも、自然とお客さまがご自身の人生や家族のエピソードを語り始める場面が多いそうです。
「この人に任せたい」と思っていただけているからこそ生まれる時間なのかもしれません。

うまく言葉にはできない「こうだったらいいのに」を汲み取り、ジュエリーとして形にする。
それが自分たちの仕事だと、語ってくれました。

挑戦の先にあるもの

2023年、加藤さんがデザインした作品「舞翔 BUSYOU」がJJAジュエリーデザインアワードに初出品し、入賞を果たしました。

JJAジュエリーデザインアワードとは、
一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)が主催する、日本を代表するジュエリーデザインコンペティションのひとつです。
日本のジュエリーの発展と、デザイナー・クラフトマンの才能を国内外へ発信することを目的に開催されています。

もともとこのコンテストへの挑戦は、ご自身の中でも決してハードルが低いものではなかったそうです。
日々の業務と並行しながら作品制作に向き合う難しさもあったといいます。

それでも挑戦を決めた背景には、「会社のこれからにつながれば」という想いがありました。

制作では、ジュエリー職人や関連部署と何度も意見を交わしながら、細かな修正を重ねていったそうです。
少しずつ理想のかたちへ近づけながら、多くの人の技術や想いが重なり、ひとつの作品が完成していきました。

試行錯誤を重ねて生まれた作品が評価されたことは、自身にとってだけでなく会社にとっても大きな意味を持つ出来事だったと振り返ります。

「挑戦してよかったと、今でも感じています」

そう話す姿からは、結果だけではない過程そのものへの実感が伝わってくるようでした。

ジュエリーデザイナーとは

時代に合わせてデザインを更新していくことで、ジュエリーは次の世代へと受け継がれていきます。

祖母から母へ、そして娘へ。
そこにあるのは単なる装飾品ではなく、それぞれの時間や記憶が重なった存在なのかもしれません。

既製品にはない、唯一無二の価値。
それを生み出すことに、この仕事の意味を感じていると語ってくれました。

デザイナーのこぼれ日話

休日の過ごし方は?

休日はあえて制作から離れ、ご自宅でゆっくりと過ごす時間を大切にしているそうです。

自然に囲まれた環境で、好きな音楽を聴きながらコーヒーを飲む。
そうして一度気持ちを整えることで、新たなインスピレーションが生まれてくるのだとか。

その静かでやわらかな時間の過ごし方は、どこか彼女のデザインにも通じるものがあるように感じられました。

デザイナーの手元を彩るジュエリー

薬指に輝く、流れるようにダイヤをあしらったリングと、やわらかな光をたたえるパールの指環。
どちらも、お母さまから受け継いだジュエリーをリフォームして生まれたものです。

一見するとシンプルで装いに馴染みながらも、既製品にはないさりげない個性が宿っています。
石の特徴を活かしながら、ほんの少しのエッセンスを加えることで生まれる違い。
日常に自然と溶け込みながらも、その人らしさを引き立てるとても素敵なジュエリーです。

編集後記

取材を通して印象的だったのは、ジュエリーの魅力を“引き出す”ように向き合っている姿でした。
受け継がれた石やかたちに丁寧に耳を傾け、その魅力を今の装いへとつなげていく——そんな美意識が感じられます。

ajourのジュエリーリフォームは、その人らしさをそっと整えるもの。
さりげないのに、どこか違う。その絶妙なバランスに、このデザイナーならではの魅力が宿っていると感じました。

この記事を書いた人

h_takazakura
ajourプロモーション 担当

子育てをしながらジュエリーコラムの執筆をしているママライター。 以前は店頭でコンシェルジュとして接客を担当していました。 毎日ジュエリーをつけるのが楽しくなるようなコラムを目指しています!

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