連載企画!職人インタビュー【技と想いのバトン】第4弾 「身につけてこそ輝くジュエリーを届けたい」
ジュエリーを作る人ってどんな人?

ジュエリーリフォーム専門店 ajour の使命は、大切なジュエリーをお預かりし、蘇らせること。
この使命を 最前線で体現している のがジュエリー職人です。
そんな ajour のジュエリー職人が抱く想い、職人になったきっかけ、そしてお気に入りのジュエリーを連載で紹介していきます。
第4回目のジュエリー職人は田中さん。
入社16年目。女性職人ならではの気配りと細やかな感性を活かし、美しいジュエリーを作りあげています。
ジュエリー職人までの道のり
つくる楽しさに惹かれて

田中さんは幼い頃から細かな作業が好きで、ビーズを使ったアクセサリー作りを楽しんでいたそうです。
高校3年生の進路を考える時期、お姉さまがジュエリー販売の仕事をしていたことに影響を受け、
「自分もジュエリーについて学びたい」と強く思うように。
その想いを胸に、ヒコ・みづのジュエリーカレッジへ進学しました。
在学中は、デザインから製作、CADの応用まで幅広く学び、ジュエリーづくりの基礎をしっかりと身につけていきます。
中でも特に惹かれたのは、ジュエリーの構造を理解しながらデザインを考える工程。
卒業制作では、自らデザインしたオリジナルチェーンを完成させるなど、思い描いたかたちを丁寧に形にしていったそうです。
一瞬の作業にも、職人の想いを込めて。

現在、田中さんが主に担当しているのは、石留め作業とレーザー溶接。
なかでもレーザー溶接は、レーザーポイントで金属を溶かし、ジュエリーのパーツ同士をつなぐ繊細な工程です。
一瞬で金属が溶けるため、正確な位置に照射する集中力と、パーツの組み立てやバランスを見極める感覚が欠かせません。
ジュエリーの構造をしっかり理解していなければ、重心がずれてしまうこともあるため、常に頭と手を使いながらの作業となります。
そんな緊張感のある工程でありながら、田中さんは「面白い」と感じるのだそう。
ひとつひとつの作業に集中しながら、形が整っていく過程にやりがいを見出しているといいます。
ジュエリー職人としての想い
お客さまの声が何よりのやりがい

田中さんは職人イベントに出張することも多く、その場でお客さまのお悩みを伺い、即座に対応する経験を積んでいます。
どのようにすればご予算の中で最も適切な仕上がりにできるかを考えながら作業する時間は、田中さん自身にとっても大きな刺激になっているそうです。
また、以前加工したジュエリーを持参したお客さまから
「とてもきれいになって、大切にしています」
と直接声をかけていただける瞬間は、何よりのやりがいだそうです。
自分の手でジュエリーがよみがえり、お客さまの笑顔につながることが、田中さんの仕事の喜びとなっているのです。
身につけてこそ輝くジュエリー

田中さんがジュエリーづくりで最も心掛けているのは、
「実際に身に着けたときにどう映るか」です。
どんなに美しいデザインでも、着けたときにバランスが崩れてしまっては意味がないと考え、石の重さや地金の種類などを考慮した設計を心がけています。
例えば、以前お客さまから、ほかのお店で購入したペンダントのヘッドがコロコロと動いてしまい、せっかくのデザインがきちんと見えない状態だという相談を受けたことがありました。
田中さんの提案で改善された際には、お店のスタッフ宛に感謝のメッセージが届くほど。
お客さまやスタッフから直接喜びの声を受け取ることは、田中さんにとっても印象深く、仕事へのやりがいにつながっているそうです。
職人のこぼれ話
もしも別の職人になるとしたら?
インタビュー中、「もしもジュエリー職人以外の仕事をしてみるとしたら?」という質問に、
田中さんの答えはなんと「養蜂場で働いてみたい!」と答えてくださいました。
過去のインタビューでも驚きの回答はいくつかありましたが、今回は思わず一番驚いた瞬間です。
動物が好きな田中さんは、自然豊かな環境で生き物の特性を学びながら働いてみたいそう。
ジュエリー作りのときと同じように、目を輝かせて笑顔で語る姿が印象的でした。
職人のMy Favorite Jewery

田中さんが画像右手につけているブレスレットは、以前購入したリングを使わなくなった際に、ご自身でリングを開いて制作したものだそうです。
シンプルで着けやすいデザインながら、オリジナリティあふれる素敵な仕上がりです。
また、普段選ぶジュエリーは「これかわいい!キレイ!」と直感で好きなデザインに惹かれて選ぶことが多いとのこと。
手元に自分がときめくデザインを身につけることで、自然と気持ちが上がり、毎日のモチベーションにもつながっています。
編集後記(社内プレス担当より)
田中さんの仕事からは、細やかな作業への集中力と、ジュエリーを通して喜びを届けたいという思いが伝わってきました。
職人としての丁寧さだけでなく、お客さまのことを想いながら作品を作る姿勢も印象的です。
そのひとつひとつの思いが、ジュエリーに表れ、手にする人の心にも届いているのだと感じます。